自賠責保険では、後遺障害は、「負傷…がなおったときに残存する当該傷病と相当因果関係を有し、かつ、将来においても回復が困難と見込まれる…身体的なき損状態であって、…労働能力のそう失を伴うもの」(『労災補償障害認定必携』より)とされています。
つまり、一度生じた後遺障害は、基本的には、将来も回復することがないと考えられています。
そのため、過去の交通事故で後遺障害が認められた同じ部位に、新たな交通事故で同じ症状の障害が見られたとしても、新たに後遺障害が認められることはありません(すでに労働能力が喪失しているため)。
しかし、12級13号や14級9号の神経症状については、通常、10年から5年程度で馴化する(馴れて気にならなくなる)とされています。
そのため、神経症状については、自賠責保険では、新たに後遺障害と認められない同一部位、同一症状の障害であっても、新たな交通事故の前には症状が無かったのに、新たな交通事故によって症状が生じたという場合には、裁判によって、後遺障害があると認められることがあります。
ただし、医学的に、新たな交通事故の前には症状がなかったことを立証する必要があります。
また、症状が無くなっていたとはいえ、過去の事故によって、その部位は弱くなっていたと考えられ、素因減額という減額をされることもあります。